福岡高等裁判所 平成2年(ネ)741号 判決
控訴人
草野喜松
被控訴人
川口勉
主文
原判決を取り消す。
控訴人の原判決別紙一の「請求の趣旨」欄一項(一)ないし(四)の各訴えをいずれも却下する。
控訴人の同欄一項(五)及び二、三項の各請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。
事実及び理由
一控訴人は、適式の呼出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭しないが、陳述したものとみなした控訴状には「原判決を取り消し、更に相当の判決を求める。」旨の記載があり、被控訴人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。
二主張の関係は、原判決事実及び理由欄一、二に記載のとおりであるからこれを引用する。
三職権をもって判断するに、本件記録によれば、原審において平成二年七月一〇日第一回口頭弁論期日が開かれ、同日弁論が終結され、同日の口頭弁論調書には判決言渡期日として同年九月二七日午後一時一〇分と記載されているが、原判決は同月二五日午後一時一〇分言い渡されたことが認められる。
右事実によれば、原判決は、指定された言渡期日(同年九月二七日午後一時一〇分)以外の日に言い渡されたと認められるから、右言渡しは民訴法一五二条、一八八条に違反しているものと解され、右違反は同法三八七条にいう「第一審ノ判決ノ手続カ法律ニ違背シタルトキ」に当たり、原判決は取消しを免れない。
しかして、控訴人の本訴請求の内容、事案の性質に鑑み、本件は原審でなお弁論をなす必要があるとは解されず、当審自らその当否に関して裁判するのが相当であるので、更に判断するに、当裁判所も原審同様、控訴人の原判決別紙一の「請求の趣旨」欄一項(一)ないし(四)の各訴えはいずれも不適法として却下を免れず、また、同欄一項(五)及び二、三項の各請求はいずれも理由がなく棄却を免れないものと判断する。その理由は、原判決一枚目裏末行から同四枚目表初行までと同じであるから、これを引用する。
よって、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官鎌田泰輝 裁判官川畑耕平 裁判官簔田孝行)